雲上の楽園!滋賀「伊吹山」で美しい花と蝶を観察しよう!

雲上の楽園!滋賀「伊吹山」で美しい花と蝶を観察しよう!

更新日:2017/08/04 15:08

菊池 模糊のプロフィール写真 菊池 模糊 旅ライター、旅ブロガー、写真家
眼下に琵琶湖を見下ろす雄大な風景、美しい高山植物、蝶、野鳥といった大自然の息吹を感じられるのが伊吹山です。日本百名山のひとつで滋賀県の最高峰(1377m)、暑い夏でも冷涼で快適。ドライブウェイを使えば、山頂まで標高差117m、楽々と登山できます。今回は、特に代表的な花と蝶を中心に伊吹山を紹介します。ぜひ、雲上の楽園を楽しんでください!

伊吹山から琵琶湖を望む!

伊吹山から琵琶湖を望む!

写真:菊池 模糊

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「そのままよ月もたのまじ伊吹山」

伊吹山のドライブウェイの終点にあるスカイテラス駐車場の西側に、芭蕉の句碑があります。そのままの姿で月の風情も不要なほどに美しいという意味で、伊吹山の毅然とした良さが短い言葉に詠みこまれています。

写真をご覧ください。句碑の向こうに琵琶湖が見え、その真ん中にあるのが竹生島です。このような雄大な風景を見ながら、西登山道コースを登ってください。高度感があり、周辺には花が咲き乱れ蝶が舞い、まさに雲上の楽園です。

伊吹山から琵琶湖を望む!

写真:菊池 模糊

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山頂に至るとさらに大きな風景と天然のお花畑が出迎えてくれます。南西を見ると眼下に琵琶湖が遥かに広がっています。中央右の半島の先に浮かんでいるやや大きな島が沖島です。そして、沖島の手前右側に豆粒のように見える島が多景島です。

伊吹山から琵琶湖を望む!

写真:菊池 模糊

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伊吹山の頂上付近で一番大きく目立つ花は、シシウドで、白い花が花火のように広がって見えます。
写真は山頂付近から北東の山岳地帯を撮影したものですが、手前に群生している大型の白い花がシシウドです。この花には昆虫がよく集まりますので、注目しましょう。

伊吹山は花の山!

伊吹山は花の山!

写真:菊池 模糊

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伊吹山の代名詞ともいえる美しい花がシモツケソウです。バラ科の多年草で、ピンクのふわっとした雰囲気は夏の山の妖精のようです。年によって開花量が異なりますが、運が良ければ群生して咲く景色も見られます。

伊吹山は花の山!

写真:菊池 模糊

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登山ルートのあちこちに、下を向いて咲く釣鐘形の花がヤマホタルブクロです。白から薄紅色と色の変化があり、楽しめます。ホタルブクロという名前は、昔、子どもたちがこの袋のような花に蛍を入れて遊んだからだそうです。

伊吹山は花の山!

写真:菊池 模糊

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伊吹山の花でひときわ鮮やかなのがコオニユリです。近縁のオニユリは中国渡来ですが、コオニユリは日本原産でやや小型。咲いた形やバランスといった造形が見事な花です。

珍しい花を探そう!

珍しい花を探そう!

写真:菊池 模糊

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フウロソウの仲間は種類が多く、伊吹山でもたくさん見られます。その中で特に珍しいのがイブキフウロ。見分け方は、他のフウロソウと違って花弁の先端が三つに割れている点で、そこを注意して観察しましょう。

珍しい花を探そう!

写真:菊池 模糊

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晩夏になると伊吹山ではサラシナショウマが群落をなして咲きます。他ではあまり見られない伊吹山の名物ともいえる名花です。上品な花なので、ぜひ見つけてください。昔は、この若菜を水にさらして山菜として食べたことからサラシナショウマという名前がつきました。

珍しい花を探そう!

写真:菊池 模糊

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この花はウバユリです。林や谷筋などに見られる大型のユリで、茎の上部に横向きの花をつけあまり開きません。

花と共に美しい蝶も観察しよう!

花と共に美しい蝶も観察しよう!

写真:菊池 模糊

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花とともにお勧めするのが蝶の観察です。花が多い夏は、その花に止まり吸蜜する蝶が多く見られますので、絶好のシーズンです。

伊吹山の夏を代表する蝶が、アサギマダラ。大型で美しくゆっくり飛ぶので観察しやすく、花に止まれば撮影も容易です。写真は、メタカラコウの花で吸蜜するアサギマダラです。メタカラコウは山頂付近で多く見られる大型の黄色いキク科の花で群落もあります。

アサギマダラは、渡りをする蝶で、南日本で幼虫越冬し、春の羽化後、多くが北上し、秋には南下します。伊吹山のアサギマダラは、そうした旅の途中なのかもしれませんね。

花と共に美しい蝶も観察しよう!

写真:菊池 模糊

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一見モンシロチョウのように見えますが、山頂付近で見られるのはスジグロシロチョウです。数が多いので出会える機会が多いポピュラーな蝶です。

止まっている花は、クガイソウ。伊吹山では、同時期に咲くルリトラノオとそっくりです。葉の付き方が違い、輪生がクガイソウで、対生がルリトラノオですので、そこで区別してください。

花と共に美しい蝶も観察しよう!

写真:菊池 模糊

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少し木々のある谷などで見られるのがサカハチチョウです。春型と夏型で翅表の模様がかなり違う興味深い蝶です。止まっている花は、ヤマアジアサイで、これも谷筋に多い花です。

珍しい蝶や野鳥にも会える!

珍しい蝶や野鳥にも会える!

写真:菊池 模糊

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ミヤマカラスシジミは、高地に生息する日本特産種の蝶で、滋賀県では準絶滅危惧種の指定を受けています。小さなシジミチョウですが風格があります。止まっている花はキオンで、山地から亜高山帯に分布するキク科の美しい花です。

珍しい蝶や野鳥にも会える!

写真:菊池 模糊

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スジボソヤマキチョウは、優雅な曲線を持った姿が美しい蝶。ゆったりと穏やかに飛び、貴婦人のようです。全国的に個体数が減ってきており、滋賀県でも希少種に指定されているのですが、伊吹山では比較的よく見られます。

珍しい蝶や野鳥にも会える!

写真:菊池 模糊

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野鳥は花や蝶に比べると難易度が上がり、なかなか観察は難しいですが、伊吹山には多くの野鳥が生息しています。イヌワシやクマタカなどの猛禽を撮影すべく野鳥カメラマンがドライブウェイ沿いの見晴らしポイントで陣取っている姿も見かけます。一般的には、花や蝶を観察しながら、山道を歩いているとポピュラーな野鳥に出会えます。

写真は山頂付近の草むらで時折見られるキジです。日本の国鳥で、大型なのですぐに分かります。キジは飛ぶのは苦手ですが、走るのは速いので見つけたらすぐに撮影しましょう。

最後に

伊吹山の花や蝶は、まだまだたくさんあります。少しずつ勉強していくと自然の奥深さが理解できます。伊吹山はそれに応えてくれる素晴らしい山です。季節や登山・散策ルートを変えて、何度も訪問され、伊吹山の変化を楽しむのも一興です。

注意点は、この豊かな自然を大事にすることです。貴重な自然で保護されていることから、決して花や蝶を取らないようにしましょう。あくまで見て観察し、写真を撮影して楽しんでください。この伊吹山の美しさを後世に残して、未来の世代にも見てもらえるように、マナーを守りましょう。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/08/04 訪問

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